高齢者はますます元気になっている?本当にそうなのでしょうか。
今回は高齢者スポーツの記録について考えてみましょう。
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文部科学省が発表した2013年の体力・運動能力調査の結果では、
10歳男子ソフトボール投げの記録が50年前に比べて約6m短くなったとのこと。

握力や反復横跳び、50m走の記録も悪くなっているようですが、
特にソフトボール投げの記録が悪くなったようです。

これは投げるという動作には、力や俊敏性など様々な動きの要素が絡んでいて、
その影響がモロに出たようですね。



いまの小学校を見ていると、運動の記録が良くなる要素はないです。
公園でゲームをしていたり、そもそも表に出る機会が少なかったり。

また公園ではキャッチボールが禁止されていることもありますし、
サッカー人気が上がったことも原因になっているようです。



ソフトボール投げだけでなく、握力や反復横跳びが
低下している結果を踏まえると、自分たちの子どもたちが
高齢者になったときの想像もある程度できるわけで、
先が思いやられます。


現在の高齢者を見ていると、子どもたちとは対照的に
生き生きとして運動していますよね。

公園でウォーキングしていたり、プールで泳いでいたり、
スポーツジムで筋トレをしていたり。


いまの子どもたちよりよっぽど運動する機会が多いでしょう。



2013年の体力・運動能力調査でも、握力、上体起こし、長座体前屈、
開眼片足立ちなど、ほとんどの項目で15年前より成績が向上しています。

高齢者が元気になっているのは、
データ上でもしっかり表されていますね。

そうなると高齢者のスポーツの記録もさぞかし伸びているのだろうと、
私は考えました。

 

 
意外に伸びていないスポーツの記録

高齢者が競うスポーツの大会として有名なものに、
マスターズ陸上という大会があります。

29歳以下の比較的若い世代から、最高は100歳以下の部まで
5歳刻みでエントリーできる層が区切られています。

1つの参考としてマスターズ陸上男子100mの2008年当時の記録と
2013年当時の記録を比べてましょう。

今回は60歳以下から90歳以下で比べてみましょう。

 

結果はこちら。

マスターズ陸上 100mの日本記録
(左:2008年当時、右:2013年当時)

60歳以下 12.21(2004年) ⇒ 更新されず
65歳以下 12.72(1997年) ⇒ 更新されず
70歳以下 13.35(2006年) ⇒ 更新されず
75歳以下 13.82(2005年) ⇒ 更新されず
80歳以下 14.75 ⇒ 14.42(2012年)
85歳以下 16.16(1998年) ⇒ 更新されず
90歳以下 18.08(2000年) ⇒ 更新されず


※単位:秒、( )の内の年は記録が更新された年



さきほどご紹介した体力・運動能力調査のように長いスパンではなく、
5年後の比較になりますが、ほとんどの記録は更新されていません。

しかも更新されていない記録の中には、
1990年代後半から変わっていないものもあります。


高齢者が増え、スポーツをされる方の人口は増えていて、
体力・運動能力調査でも良い結果がでています。

ですからスポーツの記録は伸びそうなのですが伸びていない。
なんか変だと思いませんか?



近年の陸上のトラックはすごく良くなりました。
もっと言えばスパイクやパンツ、ソックスも良くなっているはずです。

最新式のトレーニング器材を使い、
最新式のトレーニングを導入しているので、
本当ならもっと記録が伸びても良さそうですが・・・。



高齢者の寝たきりは減っていく?

結論から申し上げると、体力・運動能力調査で測る内容と
スポーツの記録はリンクしません。

だって体力・運動能力調査での子どもの記録は
軒並み低下していっているのに、陸上や水泳では
日本記録が更新されることがあります。


スポーツ大会にでるような一部のアスリートは
いつの時代も飛び抜けているもので、
調査で示されるような平均値とは関係ないと思われます。

そう考えるとスポーツ界には、
今後も変わらず希望の光があるのかもしれません。



私たち理学療法士が対象とする一般的な高齢者の、
調査による運動能力の平均値は向上していれば
骨折や寝たきりが減るのかと言われればそうでもありません。

これらの結果と転倒や寝たきりが
リンクするかも分からないからです。


結局はデータで見られる元気なお年寄りが増えることと、
医療や介護での話は別のかもしれませんね。
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